現代小説 / 長編

イン・ザ・メガチャーチ

著:朝井 リョウ

沈みゆく列島で、"界隈"は沸騰する。
熱狂の中に救いを求める人たちの、切実な物語。
🏆 2026年 本屋大賞 大賞 📚 第9回 未来屋小説大賞 📺 第2回 あの本、読みました?大賞
作品紹介(ネタバレなし)

現代日本を舞台に、「ファンダム経済」の熱狂と、その裏にひそむ構造の功罪を描いた長編小説。物語は、世代も立場もまったく異なる3人の視点から交互に語られます。アイドルグループの運営に携わることになった、家族と離れて暮らす男。内向的な気質ゆえに心の疲弊を抱え、何かにすがりたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、ある報道によって状況が一変する女性。

「仕掛ける側」「のめり込む側」「かつてのめり込んでいた側」という三者を通して、人の心を動かす〈物語〉とは何か、そしてその力がどこまで人を救い、どこから人を傷つけるのかを、朝井リョウが冷静かつ鋭い視線で掘り下げます。タイトルの「メガチャーチ」とは本来、数万人規模の巨大教会のこと。本作では、特定の対象に熱狂的に集う現代の〈界隈〉の構造を象徴する言葉として使われています。

「神がいないこの国で人を操るには、
"物語"を使うのが一番いいんですよ」

— 本文より(作中のセリフ)
読者レビュー
★★★★★ 高評価 ブクログ・読書ブログより要約

読む前と読んだ後で「小説」という概念が変わるほどのインパクトがあった。最初は社会学の論文をほぐしたような作品かと思ったら、ドキュメンタリー的な描写があり、やがてストーリーが動き出す。朝井リョウの比喩表現と人間観察の鋭さが随所に光る。「推し活なんて趣味でしょ」と思っていた人も、読めば問いが変わるはず。

★★★★☆ 高評価 個人ブログ・読書感想より要約

「推し活」を軸に、仕掛ける側・のめり込む側・かつてのめり込んでいた側の三者が描かれ、今の時代が凝縮されている。誰が幸せなのか、自分で選ぶ自由がなぜ苦痛になるのか、そういった問いが読後もずっと頭を離れない。文章がうまく、言葉の一つひとつがズンとくる。

★★★☆☆ 中評価 楽天ブックスレビューより要約

推し活やファンダム経済についてよく書けているとは思うが、テーマ的な新しさは感じなかった。子育てを遅く始めた自分の人生とは重なる部分が少なく、刺さりにくかった。20代で子育てを経験した世代なら、もっとシンクロできるかもしれない。

★★☆☆☆ 低評価 Amazonカスタマーレビューより要約

「メガチャーチ」という概念を推し活に結びつける試みは面白いが、作中での宗教(キリスト教)の描き方が一面的に感じられ、気になった。また、物語のテンポが後半に向けてやや重くなり、読み進めるのに時間がかかった。共感できる登場人物がいなかったため、最後まで乗り切れなかった。

※上記レビューは、読書メーター・ブクログ・楽天ブックス・Amazon各サービスに寄せられた読者の感想を参考に要約したものです。実際のレビュー全文は各サービスにてご確認ください。架空のレビューは含みません。

著者プロフィール
名前朝井 リョウ(あさい りょう)
生年月日1989年5月31日生まれ
出身岐阜県不破郡垂井町
学歴早稲田大学文化構想学部卒業
経歴大学在学中の2009年、20歳でデビュー。その後も作家活動を続けながら、ラジオパーソナリティとしても親しまれている。
主な作品『桐島、部活やめるってよ』『何者』『正欲』『生殖記』など
2009第22回 小説すばる新人賞(『桐島、部活やめるってよ』)
2011第3回 高校生が選ぶ天竜文学賞(『チア男子!!』)
2013第148回 直木三十五賞(『何者』)※平成生まれ初・男性受賞者として当時最年少(23歳)
2014第29回 坪田譲治文学賞(『世界地図の下書き』)
2021柴田錬三郎賞(『正欲』)
2026第23回 本屋大賞 大賞(『イン・ザ・メガチャーチ』)
書誌情報
タイトルイン・ザ・メガチャーチ
著者朝井リョウ
出版社日経BP(日本経済新聞出版)
発行年2025年9月3日
形式ハードカバー(Kindle版・オーディオブック版あり)
ページ数448ページ
ISBN978-4-296-12104-5
連載日本経済新聞夕刊(2023年4月〜2024年3月)を単行本化
税込価格2,200円(参考:楽天ブックス掲載情報)
こんな人におすすめ
01

「推し活」や「ファン心理」に興味がある人

応援することの喜びや、熱狂の裏にある構造を深く考えたい方に。アイドル・俳優ファンのみならず、人が何かにのめり込む心理に関心がある人にも刺さります。

02

現代日本の社会・経済の動きを小説で読みたい人

ファンダム経済・SNS時代の集団心理・コンテンツ産業の功罪など、今の時代をリアルに描いた社会派小説として楽しめます。

03

朝井リョウの作品が好きな人・読んだことがない人

『何者』『正欲』などで知られる著者の集大成的な長編。読後に「気持ちよくなれない」かもしれないけれど、深く考えさせてくれる一冊です。