現代小説 / 長編
現代日本を舞台に、「ファンダム経済」の熱狂と、その裏にひそむ構造の功罪を描いた長編小説。物語は、世代も立場もまったく異なる3人の視点から交互に語られます。アイドルグループの運営に携わることになった、家族と離れて暮らす男。内向的な気質ゆえに心の疲弊を抱え、何かにすがりたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、ある報道によって状況が一変する女性。
「仕掛ける側」「のめり込む側」「かつてのめり込んでいた側」という三者を通して、人の心を動かす〈物語〉とは何か、そしてその力がどこまで人を救い、どこから人を傷つけるのかを、朝井リョウが冷静かつ鋭い視線で掘り下げます。タイトルの「メガチャーチ」とは本来、数万人規模の巨大教会のこと。本作では、特定の対象に熱狂的に集う現代の〈界隈〉の構造を象徴する言葉として使われています。
「神がいないこの国で人を操るには、
"物語"を使うのが一番いいんですよ」
読む前と読んだ後で「小説」という概念が変わるほどのインパクトがあった。最初は社会学の論文をほぐしたような作品かと思ったら、ドキュメンタリー的な描写があり、やがてストーリーが動き出す。朝井リョウの比喩表現と人間観察の鋭さが随所に光る。「推し活なんて趣味でしょ」と思っていた人も、読めば問いが変わるはず。
「推し活」を軸に、仕掛ける側・のめり込む側・かつてのめり込んでいた側の三者が描かれ、今の時代が凝縮されている。誰が幸せなのか、自分で選ぶ自由がなぜ苦痛になるのか、そういった問いが読後もずっと頭を離れない。文章がうまく、言葉の一つひとつがズンとくる。
推し活やファンダム経済についてよく書けているとは思うが、テーマ的な新しさは感じなかった。子育てを遅く始めた自分の人生とは重なる部分が少なく、刺さりにくかった。20代で子育てを経験した世代なら、もっとシンクロできるかもしれない。
「メガチャーチ」という概念を推し活に結びつける試みは面白いが、作中での宗教(キリスト教)の描き方が一面的に感じられ、気になった。また、物語のテンポが後半に向けてやや重くなり、読み進めるのに時間がかかった。共感できる登場人物がいなかったため、最後まで乗り切れなかった。
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主な受賞歴(Wikipedia・各出版社公式情報より)
「推し活」や「ファン心理」に興味がある人
応援することの喜びや、熱狂の裏にある構造を深く考えたい方に。アイドル・俳優ファンのみならず、人が何かにのめり込む心理に関心がある人にも刺さります。
現代日本の社会・経済の動きを小説で読みたい人
ファンダム経済・SNS時代の集団心理・コンテンツ産業の功罪など、今の時代をリアルに描いた社会派小説として楽しめます。
朝井リョウの作品が好きな人・読んだことがない人
『何者』『正欲』などで知られる著者の集大成的な長編。読後に「気持ちよくなれない」かもしれないけれど、深く考えさせてくれる一冊です。